相続登記をしないデメリット
デメリットは次の通りです。
誰のものか分からなくなる
相続登記をせずにおくと、その不動産は誰のものか分からなくなってしまいます。
これは相続が連続して発生する場面の話です。たとえば札幌市在住で不動産の所有者であったAが死亡して、相続人がB及びCだとします。その後Bも死亡し、Bの相続人はD、E及びFです。そしてFも死亡して、Fの相続人は……。このような状態では、不動産はAの相続人(これにはBやFの相続人も含まれます)全員の共有状態です。
このようになると、不動産は誰のものか分からなくなってしまいます。
相続人をしっかり調査してみると30人もいたという場面だって珍しくないのです。
売るに売れなくなる
相続した不動産を売却するためには、相続登記を経由しなければいけません。
故人の名義から、買主名義に直接移すことはできないのです。
問題なのは、売ろうとしたときに相続登記が難しくなる場面です。
たとえば相続人の代表者の名義にし、その者が外部の方に売却しようとする場面を想像してください。この場合は、相続人間で遺産分割協議をまとめ、それに基づいて相続登記をします。けれども相続登記を放っておいて相続人が10人や20人になってしまった場合は、その遺産分割協議がまとまらないことだって考えられます。
また、たくさんいる相続人のうちの誰かが重度の認知症になってしまった場合は、遺産分割協議もできません。
判断能力が乏しくなっているため、「成年後見」というまったく別の制度を利用しなければいけなくなってしまいます。
空き家・処分不能の土地になる
結局相続登記ができない土地は、売却することはできなくなってしまいます。
このような状態になると、最近よく聞くようになった「空き家・処分不能土地」という問題にぶち当たります。
誰のものか分からなくなってしまった家には誰も住まなくなり、空き家になり、土地はもう処分が不可能。
これが、相続登記をしないことで生じる問題なのです。