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相続分の譲渡とは

相続人の権利は譲渡可能


札幌で実施している相続の無料相談において、「相続人の代わりに第三者が遺産に関する権利を主張してきたが、このようなことはありますか?」と聞かれたことがあります。

これは「相続分の譲渡」についての質問です。本記事では、この「相続分の譲渡」について解説いたします。

そもそも民法の条文には、次のように規定されています。

民法第905条1項
共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。


「相続分を第三者に譲り渡したとき」という形で規定されているため、それは相続分の譲渡は可能であることを前提としているのです。

「相続分」とは? その譲渡とは?


そもそも相続分とは、次のものを意味します。

相続分:遺産全体に対して各共同相続人が有する包括的持分あるいは法律上の地位をいうものとかいされている(東京高決昭和28年9月4日高民集6巻10号603頁)。


この「相続分」を譲渡するとなれば、遺産に対する譲渡相続人の割合的な持分が譲受人に移転することになります。

がしかし、相続債務に関しては、譲渡相続人が債権者との関係でこの債務を免れるものではありません。ある意味においてこれは債務引受と同様のことをしようとしているため、債権者の保護が必要になるのです。

相続分の譲渡、対抗要件は?


相続分の譲渡は、どのようにすれば第三者に対抗できるようになるのでしょうか。

ある学説によると、債権譲渡の対抗要件規定(民法第467条)をここで準用して、通知等がなければ対抗することができないとする見解があります。

しかしながら、裁判例によると、相続分の譲渡を対抗するために通知等は特に必要はないと解しています(和歌山家審昭和56年9月30日家月35巻2号167頁)。

もちろん、個々の遺産についての対抗要件(不動産であれば登記、債権であれば通知等)が必要なのはここで付け加えておきます。

相続分の譲渡の効果


相続分の譲渡の効果は、相続人の地位が移ることを意味しますが、それをもっと深掘りすれば、相続財産を構成する個々の財産上の共有持分も譲受人に移転するものと解するのが相当でしょう。
なぜなら遺産共有状態は、物権共有状態と異ならないとするのが判例の見解であるためです。

相続分の譲渡の効果については、判例も「相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される」としています(最高裁平成13年7月10日)。

相続分の譲渡と相続登記


相続分の譲渡がなされた場合の相続登記に関しては、下記をご覧ください。

相続分の譲渡と相続登記