法定相続による相続登記
もっとも簡単なのが、法定相続による登記です。民法で定められてる「法定相続分」のまま、登記するのです。
たとえば札幌のAが死亡し、相続人がその子であるBとCであるとしましょう。民法によると、BとCの法定相続分は2分の1ずつです。このような場面で、「2分の1 B、2分の1 C」という登記名義にするのです。
このような法定相続分の通りの登記は、BとCの両名が関与しなくても可能です。B(またはC)からの単独で、「2分の1 B、2分の1 C」という登記を申請することができるのです。※なお、申請に関与しなかった者には、登記識別情報通知(いわゆる権利証)は発行されないため、極力、両名が申請に関与するべきだといえます。
遺言による相続登記
遺言に基づいて登記を申請することがあります。
たとえば札幌のAが、「札幌の自宅は、長男であるBに相続させる」という遺言書を作成していたら、その遺言書を法務局に持ち込み、B名義にする相続登記の申請が可能です。これが意味することは他の相続人であるCの協力なしに、Bの名義にする登記ができてしまう、ということです。
なお、自筆証書の遺言書(法務局で保管されたものを除く)であれば、家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。検認済みの状態ではじめて、相続登記の添付書類としての適格性を有するのです。※公正証書の遺言書であれば、検認は不要です。
遺産分割による相続登記
相続人が複数名いる場合に、「遺産分割」によって、法定相続以外の相続を実現することも可能です。
たとえば札幌のAが死亡した際に、相続人BとCの間でまったく争いがないとします。BとCが話し合って、「札幌の不動産はBが単独で相続する」と決めることができるのです。これを「遺産分割協議」といい、この遺産分割協議に基づいて、相続登記の申請をするのです。
遺産分割協議による相続登記の申請の場合は、遺産分割協議書に各相続人が実印で押印をし、印鑑証明書を添付することが求められています。この印鑑証明書は、発行日から3ヶ月以内のものである必要はありません。
一方で、いかなるケースにおいても協議がまとまるわけではありません。争いのある場面では、当事者同士の話し合いでは遺産分割はできず、家庭裁判所での調停や審判によって分割が成立することがあります。このような場面でも、その遺産分割内容に基づいて、不動産を取得した者が相続登記を申請することが可能です。
相続登記の場面で多いのは
札幌で相続登記のお手伝いを数多くしていますが、多いのは「遺産分割による相続登記」です。この分割を協議で行い、各相続人の印鑑証明書を添付して法務局に提出するのが、実務においてよくある申請のパターンなのです。