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相続の開始にならない「高齢者消除」

「高齢者消除」は戸籍上の整理にすぎない


相続登記などの相続手続の際に必ず確認するのが、そもそも「相続が開始しているかどうか」です。
相続の開始原因は人の「死」であり、相続が開始していなければ、相続手続を進めることはできないのです。

では、俗にいう「高齢者消除」は、死亡と扱ってよいのでしょうか? 「高齢者消除」で相続は開始するのか、という問題です。

高齢者消除とは?


100歳以上の高齢者の方で、所在不明の方が全国に多くいらっしゃいます。
平均寿命から考えると、このような方々は既に死亡している可能性が高く、戸籍上ずっと生存しているものとしておくことは適切ではありません。

そこで戸籍実務において、100歳以上の高齢者で所在不明の方について、死亡した可能性が高い場合においては、市町村長が法務局長の許可を得て、その権限で死亡したものとして戸籍からその高齢者を消除することが認められています。
これが「高齢者消除」です(昭和32年1月31年民甲163民事局長回答)。

高齢者消除の取扱は?


注意しなければいけないのは、高齢者消除は単なる戸籍上の整理であって、高齢者消除によって「死亡」の効果が生じるわけではない点です。

裁判所の見解によると、高齢者消除では失踪宣告のような法的な効果が生ずるものではなく、高齢者消除の記載によって相続の開始を認定することはできないとされているのです(松山家審昭和42年4月19日家月19巻11号117頁)。

したがって高齢者消除の対象者が不動産を有していて、その者が死亡したものとして相続登記の申請をしたいと思っても、高齢者消除の旨が記載された戸籍に基づいて手続を進めることはできません。

高齢者消除の対象者の方の相続手続を進めるためには、死亡届を提出して死亡の旨を戸籍に記載してもらうか、失踪宣告により死亡したものとみなされる旨を戸籍に記載してもらってからでなければ、相続手続を進めることは難しいのです(昭和32年12月27日民三1384民事局第三課長事務代理電報回答・登研123号34頁参照)。

戸籍の記載は?


高齢者消除の場合は、戸籍には次のように記載されます。参考までにここで紹介しておきます。

<高齢者消除の戸籍への記載>
高齢者につき死亡と認定平成〇年〇月〇日許可同月〇日除籍(平成2年3月1日民事局長通達・参考記載例168)

認定死亡とは?


似て非なる取扱として「認定死亡」というものがあります。
詳しくは下記をご覧ください。

戸籍における「認定死亡」とは?