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口頭による「遺言」は有効?

遺言は民法の形式で…


札幌で相続の相談を受け付けた甲さんですが、甲さんのご相談は次のようなものでした。

父(被相続人)は、口頭で「遺言」を遺していました。長男である私に財産のうち3分の2を相続させて、残りを長女と次女が半分ずつ相続するように言っていました。このような「遺言」は、有効なのでしょうか?

このように、遺言の内容を口頭で伝えている例はたくさんあります。では、口頭遺言は、法律的に有効なのでしょうか? ここで解説しましょう。

「相続分の指定」に当たる行為は「遺言」で


「3分の2は長男に、残りを長女と次女に半分ずつ相続させる」旨の遺言は、法律上は「相続分の指定」に該当します。

注意して欲しいのは、民法には次の条文があることです。

民法第902条
被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。


上記の条文によると、遺言で相続分の指定が「できる」となっています。
これを字面通りに読めば、口頭でも、相続分の指定はできなくはないようにも読めます。

しかしながら、口頭では相続分の指定はできません。相続分の指定は、「遺言」でしなければいけないのです。

「遺言」とは


遺言は、民法の定める形式に従って作成しなければいけません(民法第960条)。民法の定める形式とは、たとえば自筆証書遺言や公正証書遺言の要件に沿った形で作成しなければいけないということです。それぞれの要件は、下記をご覧ください。

自筆証書遺言の作成
公正証書遺言の作成

相続分の指定をするのなら、遺言では下記のように記載すればよいでしょう。

遺言者は、次のとおり相続分の指定をする。

長男 甲(昭和33年1月28日生) 6分の4
長女 乙(昭和38年1月11日生) 6分の1
次女 丙(昭和41年6月18日生) 6分の1

口頭での「遺言」の効力


民法の定めに従わなかった「遺言」は、無効になります。

口頭で相続分の指定をした場合は、その指定は残念ながら無効です。
相続人たちは、被相続人の言いつけに従うことなく、自由な意思で遺産分割協議を行うことが可能です。

なお、遺産分割協議の際に、被相続人の意思を尊重することも当然可能です。
被相続人が生前に「長男に3分の2、長女と次女で残りを半分ずつ」と言っていたのであれば、その通りに遺産分割協議をまとめ、相続することも可能なのです。

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相続分の指定の第三者への委託については、下記の記事を参考にしてください。
相続分の指定、第三者への委託


相続分の指定以外に関する遺言の情報が知りたければ、下記を参考にしてください。
自筆証書遺言の作成
公正証書遺言の作成