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第三者への相続分の譲渡と相続登記

相続分の譲渡によって相続登記はどうなる?


札幌在住のAさんが死亡し、相続人はB及びCだとします。
この場面でB及びCの両名が、あるいはB又はCの一方が第三者に相続分の譲渡をした場合、「相続登記」はどのようにしたらよいのでしょうか。

そもそも「相続分の譲渡」とは、譲渡相続人が、遺産に対するその有する割合的な持分を譲受人に移転することです。
詳しくは「相続分の譲渡とは」をご確認ください。

では、先ほどの札幌市の被相続人Aをめぐる相続において、第三者への相続分の譲渡があった場合、相続登記はどのように処理するのでしょうか。

共同相続の登記が既にある場面と、共同相続の登記がまだない場面に分け、ここではそれぞれの場面に分けて解説します。

共同相続登記がまだない場面~第三者がすべての相続分を取得~


まず確認したいのは、第三者がすべての相続分の譲渡を受けた場合でも、第三者名義への相続を登記原因とする直接所有権移転登記はできない点です。質疑応答では、次のように述べられています。

共同相続登記がされる前に、共同相続人以外の第三者が相続人全員から相続分の譲渡を受けた場合は、相続を登記原因として、被相続人から当該第三者に直接所有権移転の登記をすることはできない(質疑応答・登記研究491号)

これは次の理由によるためです。

相続分の譲渡は、譲渡人と譲受人の契約によって成立するものであり、その効果として共有持分権が第三者へ移転すると考えられ、それ自体が公示するべき物権変動であるため(ゆえに相続登記を経由した後に、相続分の譲渡による共有者持分全部移転登記をするべき)。

被相続人から、直接譲受人以外の第三者への移転登記を認めてしまうと、相続人人ではない者が「相続」を登記原因とする移転登記によって権利を取得した公示がなされてしまう(特に第三者が法人である場合に、「相続」を原因とした権利取得登記は望ましくない)。

共同相続登記がまだない場面~第三者が相続分の一部を取得~


質疑応答は、共同相続人のうちの一人又は数人から相続分の譲渡を受けた場合についても、被相続人から第三者名義への相続を原因とした直接の所有権移転登記はするべきではないと述べています。

いったん譲渡人を含む共同相続人全員による共同相続登記を経由した上、譲渡人から譲受人への相続分の譲渡による持分移転の登記をするのが相当(質疑応答・登記研究728号)


第三者が相続分の一部を取得した後、遺産分割で全部を取得した場合は?
では、第三者が相続人分の一部を譲り受けた後に、当該第三者を含めた遺産分割協議によって譲受人が不動産を単独取得することになった場合は、どのようにして当該第三者名義にしたらよいのでしょうか。

これについては、以下の3つの段階を踏むべきだとされています。

①譲渡人を含む共同相続人全員による共同相続登記
相続分の譲渡による持分移転登記(登記原因は「相続分の売買(又は贈与)」)
遺産分割による持分移転登記


「相続」を登記原因として、被相続人名義から直接第三者名義へ所有権移転登記をするという見解もないわけではありませんが、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映するという不動産登記法の趣旨から、それは妥当ではないのです。

共同相続登記がすでにある場面


共同相続登記がなされた後に第三者への相続分の譲渡があった場合は、登記は相続分の譲渡による持分移転登記をします。
なお、登記原因は「相続分の売買(又は贈与)」です。

第三者が相続分の一部を取得した後、遺産分割で全部を取得した場合は?
第三者への相続分の譲渡がなされた後に遺産分協議があり、当該第三者が不動産を単独で取得した場合は、登記は以下のようになります。

①相続分の譲渡による持分移転登記(登記原因は「相続分の売買(又は贈与)」)
遺産分割による持分移転登記

相続分の譲渡を受けたのが共同相続人だったら


相続分の譲渡を受けたのが共同相続人のうちの一人であった場合は、下記の記事が参考になります。

相続分の譲渡と相続登記(共同相続登記がまだない場合)
「相続分の贈与」「相続分の売買」を原因とする相続登記(共同相続登記が既にある場合)

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