相続分の譲渡によって相続登記はどうなる?
札幌在住のAさんが死亡し、相続人はB及びCだとします。
この場面でB及びCの両名が、あるいはB又はCの一方が第三者に相続分の譲渡をした場合、「相続登記」はどのようにしたらよいのでしょうか。
そもそも「相続分の譲渡」とは、譲渡相続人が、遺産に対するその有する
割合的な持分を譲受人に移転することです。
詳しくは「
相続分の譲渡とは」をご確認ください。
では、先ほどの札幌市の被相続人Aをめぐる相続において、第三者への相続分の譲渡があった場合、相続登記はどのように処理するのでしょうか。
共同相続の登記が既にある場面と、共同相続の登記がまだない場面に分け、ここではそれぞれの場面に分けて解説します。
共同相続登記がまだない場面~第三者が相続分の一部を取得~
質疑応答は、共同相続人のうちの一人又は数人から相続分の譲渡を受けた場合についても、被相続人から第三者名義への相続を原因とした直接の所有権移転登記はするべきではないと述べています。
いったん譲渡人を含む共同相続人全員による共同相続登記を経由した上、譲渡人から譲受人への相続分の譲渡による持分移転の登記をするのが相当(質疑応答・登記研究728号)
第三者が相続分の一部を取得した後、遺産分割で全部を取得した場合は?
では、第三者が相続人分の一部を譲り受けた後に、当該第三者を含めた遺産分割協議によって譲受人が不動産を単独取得することになった場合は、どのようにして当該第三者名義にしたらよいのでしょうか。
これについては、以下の3つの段階を踏むべきだとされています。
①譲渡人を含む共同相続人全員による共同相続登記
②相続分の譲渡による持分移転登記(登記原因は「相続分の売買(又は贈与)」)
③遺産分割による持分移転登記
「相続」を登記原因として、被相続人名義から直接第三者名義へ所有権移転登記をするという見解もないわけではありませんが、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映するという不動産登記法の趣旨から、それは妥当ではないのです。
相続分の譲渡を受けたのが共同相続人だったら
相続分の譲渡を受けたのが共同相続人のうちの一人であった場合は、下記の記事が参考になります。